素材調

金属という「素材」の音を活かした楽器を制作。

「高岡銅器」といっても、真鍮、ブロンズ、唐金(からかね)など様々な種類の「銅合金」があります。職人は素材の特性を熟知して、製品によって使い分けているのです。「工芸品は素材が昇華したもの」だと考えた素材調チームは、プロダクトデザインではなく、見せ方がデザインされた『素材』をつくることを考えました。それがメディアとなって、高岡の工芸に使われる素材や技法を知る機会を作り、また実際に使われていくもの、使われ続けることで古くならないようなものを目指し、コンセプチュアルな「楽器」を制作しています。

今回は「真鍮」(銅と亜鉛の合金)に着目し、銅と亜鉛の配合率を変えた3種類の素材を用い、素材の響きの違いが強調される形状を探しました。棒状、丸型、トライアングル、などを作っては周波数解析などで音の響きを検証し、合計で53の素材と形状を試しました。

1つの原型を180度回転させ並べることで増やせるユニット構造で2種類の素材と、鍛錬ある・なし、側面も叩ける、など多様な音が出せ、見た目にも美しいプロトタイプを制作しました。今後、さらに素材の種類を増やして多彩な音が出せるようにし、ミュージシャンによるパフォーマンスなどに展開していきます。



 
 

つくるラボTakaoka

伝統工芸×IoT。「結音(ゆいね)」が
大切な人にあなたの想いを届けます。

富山県高岡市は、日本の仏具生産の9割を占める「仏具の里」。仏具の一つである「おりん」も、音にこだわった多様な製品を作っています。「結音」はこの癒しの音色を持った伝統工芸の「おりん」とIoTを組み合わせたプロダクトです。

核家族化が進み、家族が離れて暮らすことも多くなりました。通信手段はいろいろあるとは言え、もっとシンプルにコミュニケーションが取れ、お互いの存在をいつも身近に感じられないでしょうか?

この「結音」をあなたが鳴らすと、離れたところにあるペアの結音も鳴ります。例えば、1回鳴らすと「おやすみ」、2回鳴らすと。。と合図を決めても。金属の持つ魅力的な音色を最大限に引き出す高岡のおりんの音を聴くことでリラックス効果が得られ、また音を聴きながら相手のことを想う時間にもなるでしょう。ソレノイド(電磁石応用作動機構)、マイク、マイコン、無線通信機を内蔵させることで実現するシステムで、すでに2件の特許出願を済ませています。実際の商品の販売に向け、開発に取り組んでいます。また、レストランの呼び出しシステムやプレゼンのタイムキープなど他の用途にも応用可能。スマートフォンから鳴らすことも可能です。



 
 

伝統技術の継承

未来に「感動」を残したい。
動画解析による伝統の技の継承システム。

技の習得に時間がかかるため、現代の若者には伝統工芸は飛び込みにくい業界というイメージがあり、伝統工芸の「後継者不足」という深刻な問題につながっています。一方で、一度途絶えた技は取り戻すことが不可能に近いほど難しく、技術の保存や継承は喫緊の課題です。今回は、技術継承を困難にしている職人技の「身体知」について、動画解析による技術習得の短期化を試み、取り組みました。将来的なコンセプトはスマートフォンで撮影した動画で誰でも簡単に解析結果が得られることです。最新のAI(人工知能)がそれを可能にしています。具体的には、ベテラン職人と見習い職人の作業の様子を撮影し、解析。動画の比較から姿勢や動作における差分を抽出します。見習い職人がその差分をなくすように作業をすることにより、身体の動きを学ぶというものです。実際に、「研磨」「彫金」「鍛金」という3種類の技で行ってみたところ、見習い職人の作業に明らかな変化・上達が認められました。また、ベテラン職人側も客観的に自身の動きを確認することによって、動作に対し意識的になることができたとのこと。

今後はさらにサンプルを集めてデータベース化し、アプリの開発を目指しています。



WEB : http://gijutu-keisho.com

 
 

トントントヤマ

製造過程にユーザーが参加する
体験型プロダクト&サービス。

伝統工芸の素晴らしい技や、魅力あふれる職人たちをもっと多くの人に伝えられないか。伝統工芸と現代技術をつなぐことによって、「物語」を商品に付加することはもちろん、リーズナブルなオーダーメイドシステムを確立し、ユーザーが製造過程に参加できる新しいプロダクトの提案です。仏具の「おりん」を叩いて製造する、高い技術を持つ職人が生み出した「すずがみ」。錫100%の柔らかい金属を叩くことで強度を上げ、しかも自由に曲げ伸ばしできるユニークな商品として人気を得ています。「トントントヤマ」は、この「すずがみ」の模様をオーダーメイドできるサービスとそれを実現するシステムです。ユーザーはweb上でビットの模様を指定すると、それを元にデジタルファブリケーションと伝統的な鋳造技術によって作成されたオーダーメイドの金槌と「すずがみ」が作られます。金槌のビットを作る鋳造の職人、できたビットを使ってすずがみを叩く鍛金職人、それぞれが制作している様子を動画で撮影し、ユーザーのためのオーダーメイド商品の製造過程を観ることができます。オリジナルの模様を施した「すずがみ」を贈り物にしたり、動画をシェアすることにより、さらなる拡散につなげます。ビットの製造や映像制作をある程度パターン化することにより、オーダーメイドでありながらリーズナブルな価格帯(1万円前後)での実現を目指します。



 
 

9+1

日本の美意識をベースに、
工芸と先端テクノロジーを融合=「CRAFTECH」

もし、効率や利便性ではなく、“美しさ”を大事にしながらテクノロジーが発展していたら、一体どんな未来がありえただろうか?「CRAFTECH」は、日本人の持つ美意識が息づく工芸と先端テクノロジーを掛け合わせた新しいムーブメントです。

<CRAFTSCAPE(インスタレーション)>

漆・金箔・銅・酸化皮膜などの高岡の伝統工芸で使われる“素材” を見つめ直し、電気伝導体/絶縁体としてのエレクトロニクス素材としても捉えられることに注目。「漆」は絶縁体であり、その特性を生かした基板と捉え、漆の美しさも表現するアート作品の制作を目指します。漆を塗ったアクリルパネルは、レーザーカットによる特殊なカットパターンによって曲げることができ、曲げ量は、作品内部の6台のモーターにより制御されています。その漆面にLEDで光をあてると、壁面に水面のようなパターンが浮かび上がります。これは漆の反射の特性によるものです。漆という素材は、その黒光りする反射の特性から、古来より水面に見たてられることがありました。本作品では、そのような反射の特性とテクノロジーを用いて現代的に水面を再解釈しています。

<その他作品展開>
導電性の糸と天然繊維を混織した「CRAFTEXTILE」、日常を彩るスマートスピーカー「CRAFTALK」、金継ぎで情景を再構成する「CRAFTPRISM」、黒漆の磁気特性を可視化する「CRAFTMOVE」などに展開しています。



WEB : https://craft-tech.org/

 
 

Metal Research Lab

金属素材と作り手との間にコンピュータ技術を
介在させる新しい表現の探求。

人工知能、3Dモデリングや3Dプリンタ、ロボットアームといったコンピュータ技術が職人の仕事を奪うのではないかとの危惧がある中、逆にこの技術を工芸技法に組み込むことによって、まったく新しい「金属表現」ができないかを探るプロジェクト。工芸的ものづくりは、作り手の意図と素材の意図(性質)の間に偶発性を伴いながら生み出されるものです。そこに、アルゴリズムやシミュレーション、データ解析などを介在させることによって、これまでに見たことのない金属表現を探るため、「Latent:コンピュータが作り出した形状やパターンを人の手によって形にする」「Obvious:手仕事や現実的には困難な作業による表現をシミュレーションで探る」という2つのアプローチによるリサーチを行いました。「Latent」では、金属の着色技法の工程にアルゴリズムで生成されたパターンを介在させ、 これまで偶発性に任せていた着色テクスチャーをより意図的なものへと近づける試みや、金属の鋳造工程にアルゴリズムで生成されたジオメトリを介在させ、 コンピュータ上での造形の具現化とその際の偶発性の観察を試みました。その結果、実際に見たことのない造形表現が生まれ、工芸のポテンシャルはまだまだ引き出せることを実感しています。



WEB : https://www.metalresearchlab.work/

 
 

Re工芸

テクノロジーの地平から伝統工芸を
Reconstruction(再構築)する。

現代のテクノロジーの視点を通して、高岡の工芸がこれまで培ってきたものを見つめ直し、その遺伝子を組み替えることはできないだろうか?「Re工芸」はコンピューテーションや人工知能の技術を活用し、高岡の工芸の歴史や造形、制作プロセスを新たな視点から捉え直し、その表現と産業の可能性に新たな展開をもたらすことを目的としたプロジェクトです。
第一弾では、効率化や驚異といった文脈で語られがちな人工知能を「予期せぬ答えを返してくれる隣人」として捉え、人工知能と職人との協働によって、漆工芸の造形性の拡張を試みました。
第二弾となる本作では、漆の持つ美的質感に着目し、3Dモデリング・3DCG技術を導入し、漆の持つ魅力をテクノロジーの視点から探求すると共に、その造形性と制作プロセスの拡張を試みます。